おせっかいOT

急性期総合病院に勤務する作業療法士 「臨床スキル」、「研究スキル」、「マネジメントスキル」について書いていきます。

急性期の総合病院に勤務するリハスタッフが知っておきたい医療保険制度~収益の観点から~

なぜ、医療保険制度について知り働く必要があるか?

 病院で勤務するリハスタッフにとって、医療保険制度はまさにルールブックです。

ただ、私の場合は、養成校や実習でも具体的な内容を教わってきませんでした。むしろ、学生にお金の話をするなんて不適切という意見も聞いたことがありました。働き始めて学ぶことという意見もありますが、自分は学生のうちから是非知っていてもらいたいと考えています。

 医療保険制度について知らずに働くということは、例えると、サッカーのルールが分からないまま試合に出場している状態です。

 なので、ルール違反をしてしまったり、仕事が非効率になったりします。

リハ部門は個人が集まったチームなので、ルールが分からないスタッフがいると、チームのパフォーマンスが低下してしまうことになります。

  チームとして結果を出していくために、急性期の総合病院に勤務するリハスタッフが知っておきたい医療保険制度について整理していきたいと思います。

 

リハビリに関わる診療報酬にはどんなものがあるか?

1.リハビリテーション部門における収入とは?

 リハビリ部門の収益は、疾患別リハビリテーション料と、そこに加算できる早期リハ加算または初期加算、リハビリテーション総合実施計画書、退院時リハビリテーション指導料などになります。

◎疾患別リハビリテーション料(施設基準Ⅰの場合)

 心大血管リハビリテーション料 205点

脳血管リハビリテーション料 245点

廃用症候群リハビリテーション料 180点

運動器リハビリテーション料 185点

呼吸器リハビリテーション料 175点

※がんリハビリテーション料 205点

 

◎早期リハ加算・初期加算

 早期リハ加算:リハビリテーション料+30点(1単位につき、起算日より30日以内)

初期加算:リハビリテーション料+45点(1単位につき、起算日より14日以内)

◎リハビリ実施計画書

  300点(月1回算定可能)

◎退院時リハビリテーション指導料

  300点(自宅退院時に1回算定可能)

 

今後、これらの診療報酬やそのほかの加算について1つずつ解説していく予定です。

 

2.リハ部門の収入にはどんなことが関係するか?

①各病院が取得している施設基準

②病院の扱う対象疾患の割合

③総単位数

④スタッフの年間出勤日数

⑤セラピスト数

⑥各種加算の算定率

リハビリテーション総合計画評価料の算定率

⑧退院時リハビリテーション指導料の算定率

 

つまり、各病院の取得した施設基準、患者業務に携わるセラピスト数とリハビリテーション提供量、各種加算などによって収益は決定されます。

 

3.リハスタッフが知っておきたい数値

①リハ部門の収益の推移

②疾患別リハの患者数と実施件数

③患者数の推移と処方率

④リハビリ実施計画書の算定率

⑤退院時リハビリテーション指導料の算定率

 

まとめ

 質の高いリハビリの提供と健全な収益の両立が重要だと考えています。

視座を高め、医療保険制度について理解していくことで、自分自身も考えながら行動することができ、いずれ提案もできるようになってくると思います。