急性期総合病院のリハ部門のリーダーに求められる役割とは?
リハビリ部門における役職には、科長や主任、リーダーなどがあると思います。
その中でも若手の療法士が最初に任せられるのが、「リーダー」です。
プレイヤーからプレイングマネージャーになることで働き方をどう変えるべきなのか?
この疑問を整理していきたいと思います。
リーダーの特徴とは?
・2人以上のプレイヤーをまとめる存在
・プレイヤーと主任の橋渡しとなる存在
・現場の判断できる程度の案件では権限が移譲される存在(少額の備品購入、実習生の対応など)
リーダー求められる役割とは?
・科長や主任からの指示を具体化し現場レベルに落としこんでいく
・新人や部下の指導と教育を行う
・上司と新人の間に立ち意見を聞いたり助言をする
・リハ物品の維持と管理など安全で快適な職場環境作り
リーダーとして成果を出すためには?
これまでの内容から、リーダーの働き方のポイントを整理してみました
①組織の目標を把握する
➤ 病院全体の目標、リハ部門の目標、リハ部門の課題とアクションプランを知り、その達成状況を適宜モニタリングする。その中で、リーダーとして解決できそうな課題を見つけ、改善を試みる。
②新人や部下との信頼関係の構築
➤ 悩み事や困りごとがないか常に気を配り、積極的に相談にのる。
③快適な職場環境作り
➤ 上司が緊急性が高く、重要な課題に注力できるように現場の判断で解決できる案件は積極的に引き受ける。権限を行使する。
役職によって、働き方は大きく変わるものだと実感しました。
明日から上記の内容を意識して働こうと思います!
急性期病院における在院日数の短縮にリハスタッフはどのように貢献できるか?
おせっかいOTのいのちゃんです。
今回のテーマは、在院日数の短縮です。
なぜ、在院日数をマネジメントする必要があるのか?
DPC制度では、在院日数を3段階に設定しています。
入院期間Ⅰ 在院日数が全国平均在院日数よりも早い 加算される
入院期間Ⅱ 在院日数が全国平均在院日数と同じ 加算も減算もされない
入院期間Ⅲ 在院日数が全国平均在院日数より長い 減算される
つまり、入院期間Ⅰ~Ⅱの期間内で退院または転院まで行えるかどうかが重要になってきます。
これには、医師や看護師、メディカルソーシャルワーカーが主体となって調整を進めていくと思いますが、リハスタッフが早い段階で退院先の助言や予後予測などの考えを示していくことが重要と考えます。
在院日数の短縮にリハスタッフはどのように貢献できるか?
組織全体での取り組みとしては、独自のシステムやルールを構築したり、回復期病院や療養病院、地域との連携を強化するなどが考えられると思います。
ただ、リハ部門が主体となって病院を動かすことはハードルが高いと考えますので、リハ部門で明日から実践できる取り組みにはどんなことがあるかについて考えてみたいと思います。
・早期のリハビリテーション介入
➤ 入院からリハ介入までの日数の短縮を図る
・初期評価から3日以内に退院先と予後予測をカルテに明記する
➤ 早期にリハスタッフの見解を提示できる体制を構築する
・リハ部門でのアセスメント教育を行う
➤ 事例検討会や勉強会の開催し、早期に正確な判断が行える力を養う
・回復期病院や地域の事業所との連携
➤ 合同での事例検討会や勉強会を通して連携がスムーズに行えるようにする
・ワーキンググループの立ち上げ
➤ 在院日数、在宅復帰率に関するデータの集計と分析体制を構築する
まとめ
急性期病院は、医療・看護必要度が高い患者さんを受け入れるためのリソースです。実際のところ、在院日数の短縮に対して、リハスタッフにできることは限られていますが、院長からの指示待ちではなく、リハ部門が自ら考え時代の流れに合わせて動いていく重要性を感じます。
急性期のリハスタッフが知っておきたいDPC制度について
急性期のリハスタッフが知っておきたい制度としてDPC(Diagnosis Procedure Combination)があります。
DPC制度とは
急性期入院医療を対象にした1日あたりの定額医療費制度で、平成15年に導入されました。
適用対象は、入院医療費のうち、入院基本料、投薬、注射、画像診断などが含まれています。一方で、手術や一部の検査、リハビリテーションは従来通りの出来高払い方式となっています。
飲食店に例えると、これまですべて単品で料理を提供していたお店が、セットメニューを定額で提供し、セットメニューに含まれていない料理を追加で注文するイメージです。
導入の背景には、
・医療費の高騰
・病院ごとに提供する医療にばらつき
などがあり、それらを是正するため導入されたようです。
DPCの算出方法
DPCは、疾患ごとに決められる診断群分類係数に、施設ごとに異なる係数(医療機関別係数)を掛けて診療報酬が決められます。
つまり、医療機関別係数が大きいほど、報酬も大きくなります。
この係数は以下の8項目から算出されます。
①保険診療係数
➤ DPC対象病院における、質が遵守されたDPCデータの提出を含めた適切な保険
診療実施・取組・公表を評価
②効率性係数
➤ 各医療機関における在院日数短縮の努力を評価
③複雑性係数
➤ 各医療機関における患者構成の差を1入院あたり点数で評価
これは、重篤な疾患であり一般的に医療資源投入量が多くなる患者さんを積極的に受け入れる病院を評価するということのようです
④カバー率係数
➤ 様々な疾患に対応できる総合的な体制について評価
⑤救急医療係数
➤ 救急医療(緊急入院)の対象となる患者治療に要する資源投入量の乖離を評価
これはどれだけ救急患者を受け入れているかを評価することのようです
・地域医療係数
➤ 地域医療への貢献を評価(中山間地域や僻地において、必要な医療提供の機能
を果たしている施設を主として評価)
・後発医薬品係数
➤ 各医療機関における入院医療に用いる後発医薬品の使用を評価
・重症度係数
➤ 診断群分類点数表で表現しきれない、患者の重症度の乖離率を評価
急性期のリハ職に求められていること
これらを踏まえると、急性期のリハスタッフとして意識するべきことは、、、
・在院日数の短縮に貢献
・早期からのリハビリ介入の実現
・様々な疾患への対応を実現
・救急医療へのリハビリとしての貢献
・後方支援病院や地域との連携
・在宅復帰率向上
などがあると考えます。
まとめ
これらを理解すると、病院が在院日数の短縮や救急患者の受け入れ、地域医療への貢献などに注力している理由が分かってきます。
ただ、自分のやりたいことを押し出していくのではなく、制度について理解して、病院が向かっている方向性を理解することが重要だと改めて感じました。
リハスタッフが知っておきたい数値を把握し提案する働き方
前回の記事でリハスタッフが知っておきたい数値について列挙しました。
◎リハスタッフが知っておきたい5つの数値
①リハ部門の収益の推移
②疾患別リハの患者数と実施件数
③患者数の推移と処方率
④リハビリ実施計画書の算定率
⑤退院時リハビリテーション指導料の算定率
◎これらの数値の把握することで、どんなことが分かるか?
①リハ部門の収益の推移
収益の増減について把握します。そこから、なぜ、増えているのか、減っているのかを考察します。増減の要因には、患者数、セラピスト数、実施件数、単位数など様々な要因が関与します。
②疾患別リハの患者数と実施件数
どの疾患が多いのか、どの疾患にどれだけリハビリを提供できているのかを知ることができます。
③患者数の推移と処方率
病院全体の患者数はどうなのか?入院患者全体のうちどれだけリハビリが介入しているのかを知ることができます。
④リハビリ実施計画書の算定率
算定率が低い場合は、その理由について明確にする必要があります。
⑤退院時リハビリテーション指導料の算定率
算定率が低い場合は、その理由について明確にすると同時に、リハビリ介入患者の在宅復帰率を算出することができます。
◎これらの数値を把握することでどんなことができるか?
・リハビリの適正人数を算出して新規採用の提案をする
・在宅復帰率の向上に繋がるようにリハビリを手厚くできないか提案する
・リハビリ実施計画書の算定率の向上について提案する
などの提案ができます。
また、病院やリハビリ科の理念や目標について把握し、提案内容と紐づけすることも重要だと考えています。
◎フォロワーシップを発揮する
管理職だけでなく、組織としての成果を最大化するために、チームメンバーがリーダーを支援する姿勢は重要だと考えています。その姿勢が、自分の目標の実現に繋がると思います。
できる部下というものは、職場や上司に関することで問題を感じているなら上司と意見交換の場をもち、そして提案ができるそうです。
そうなれるように、取り組んでいければと思います。
急性期の総合病院に勤務するリハスタッフが知っておきたい医療保険制度~収益の観点から~
なぜ、医療保険制度について知り働く必要があるか?
病院で勤務するリハスタッフにとって、医療保険制度はまさにルールブックです。
ただ、私の場合は、養成校や実習でも具体的な内容を教わってきませんでした。むしろ、学生にお金の話をするなんて不適切という意見も聞いたことがありました。働き始めて学ぶことという意見もありますが、自分は学生のうちから是非知っていてもらいたいと考えています。
医療保険制度について知らずに働くということは、例えると、サッカーのルールが分からないまま試合に出場している状態です。
なので、ルール違反をしてしまったり、仕事が非効率になったりします。
リハ部門は個人が集まったチームなので、ルールが分からないスタッフがいると、チームのパフォーマンスが低下してしまうことになります。
チームとして結果を出していくために、急性期の総合病院に勤務するリハスタッフが知っておきたい医療保険制度について整理していきたいと思います。
リハビリに関わる診療報酬にはどんなものがあるか?
1.リハビリテーション部門における収入とは?
リハビリ部門の収益は、疾患別リハビリテーション料と、そこに加算できる早期リハ加算または初期加算、リハビリテーション総合実施計画書、退院時リハビリテーション指導料などになります。
◎疾患別リハビリテーション料(施設基準Ⅰの場合)
心大血管リハビリテーション料 205点
脳血管リハビリテーション料 245点
運動器リハビリテーション料 185点
呼吸器リハビリテーション料 175点
※がんリハビリテーション料 205点
◎早期リハ加算・初期加算
早期リハ加算:リハビリテーション料+30点(1単位につき、起算日より30日以内)
初期加算:リハビリテーション料+45点(1単位につき、起算日より14日以内)
◎リハビリ実施計画書
300点(月1回算定可能)
◎退院時リハビリテーション指導料
300点(自宅退院時に1回算定可能)
今後、これらの診療報酬やそのほかの加算について1つずつ解説していく予定です。
2.リハ部門の収入にはどんなことが関係するか?
①各病院が取得している施設基準
②病院の扱う対象疾患の割合
③総単位数
④スタッフの年間出勤日数
⑤セラピスト数
⑥各種加算の算定率
⑦リハビリテーション総合計画評価料の算定率
⑧退院時リハビリテーション指導料の算定率
つまり、各病院の取得した施設基準、患者業務に携わるセラピスト数とリハビリテーション提供量、各種加算などによって収益は決定されます。
3.リハスタッフが知っておきたい数値
①リハ部門の収益の推移
②疾患別リハの患者数と実施件数
③患者数の推移と処方率
④リハビリ実施計画書の算定率
⑤退院時リハビリテーション指導料の算定率
まとめ
質の高いリハビリの提供と健全な収益の両立が重要だと考えています。
視座を高め、医療保険制度について理解していくことで、自分自身も考えながら行動することができ、いずれ提案もできるようになってくると思います。
おせっかいOTブログ スタート!
おせっかいOTのいのちゃんです。
私は、急性期総合病院に勤務する20代の作業療法士です。
このところ、キャリアについて考える中で、3つのスキルが必要と感じています。
それは・・・・
① 臨床スキル
② 研究スキル
③ マネジメントスキル
根拠に基づいた臨床実践には、研究法は欠かせません。
また、マネジメントスキルは、チームで力を合わせてよりよいサービスの提供、効率的な仕事をしていくために欠かせません。
このブログでは、臨床スキル、研究スキル、マネジメントスキルに関連したことを書いていきます。
ただ待っていても自分のやりたい仕事やキャリアは築けません。
チャンスの神は前髪しかないということわざがありますが、いい準備をしてそのチャンスを逃さないように取り組んでいければと思います!